ジャズの誕生の歴史

バディー・ボールデンの登場

 未だコンサートホールや今で言うライブハウス等は無く当時の演奏は常に街頭や広場でのパレードが当たり前のこの時代、町にはブラスバンドスタイルのパレードバンドが数多くありました。その中の一番人気チーム「イーグル・ブラスバンド/EAGLE

BRASS BAND」の人気コルネット奏者「バディ・ボールデン/BUDDY BOLDEN 1868〜1931」が1894年に自分のバンドで人気を得、後にストーリー・ビルの売春宿で演奏する様になり好評を博します。

☆ これが歴史上最初の「ジャズバンド」と言われています。

 音響設備等無い時代ですのでクラシックでもマーチングバンドでもその編成は常に20人以上となり、大人数ほど迫力があり人々に人気があった時代にB・ボールデンはコルネット1〜2本にクラリネットとトロンボーン各1本の僅か3〜4人でメロディーセクションを作り、リズムセクションにはチューバ(又はベース)、バンジョー(又はギター)に室内でしか使えないピアノとドラム奏者各一人と言う当時としては極めてガキ的な総勢僅か7〜8人の少人数バンドで人々の話題を集めたのでした。

 これがどんなに凄い事かと申しますと、100年以上経った現在でもデキシーランドジャズバンドの基本編成スタイルは彼の考え出したスタイルと余り変わらないのです。

ディー・ディー・チャンドラーの発明

 B・ボールデンが(経費を浮かす為か?)画期的な少人数編成バンドの結成を可能にした大きな理由が一つあります。どのバンド編成でもリズムセクションにはドラムと言う楽器が必要なのですが、皆様もご存じの通り、オーケストラやブラスバンドでは

◎小太鼓を担当する者、◎大太鼓担当、◎ベッケンと呼ばれる合わせシンバル担当、それに◎トライアングルや大きなシンバルを奏する者、更に◎ティンパニー奏者等と最低でも4人〜5人のパーカッション奏者が必要でその頭数が多いバンド程音量が大きく迫力の点で人々に人気が有ったのです。

そんな訳で自分好みの少人数プライベートバンド編成等は論外でしたが1894年にディー・ディー・チャンドラーと言う小太鼓奏者が自分の右足で大太鼓を打ち鳴らす木製のフットペダルを考え出し彼は小太鼓と大太鼓を同時に演奏し大いに話題を呼びます。ここからドラマーは椅子に座る様になり、そうなると「もう一方の左足でベッケンシンバルを鳴らそう!」とハイハット・シンバルの原型が考え出されそれ迄は複数人数が絶対条件のドラムと言う楽器が僅か一人で演奏可能な楽器に変身します。(DRUM⇒DRUMS)

このジャズ史上実に大きな発明発見は人々から余り高い評価をうけてませんがジャズ発展の歴史上実に大きな隠れた出来事でB・ボールデンは逸速くここに目をつけ少人数バンドを作り名声を挙げたのです。

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