VOLUME 2 ニューオーリンズよもやま話

湿地帯では栽培できない綿花(つづき)

南部の主要産物である綿花の栽培地帯と言うのはミシシッピー川流域のN.O市の有るルイジアナ州の北部から始まりジョージア、ミシシッピー、アラバマ、アーカンソー、ケンタッキー、バージニア、テネシー他14にまたがる州で、その扇の要となっていた一大貿易港N.Oはそれらの地域で産出した綿花の物流拠点地として栄えたのでした。

その時代の綿花物流業務を一手に操っていた権力者達と言うのが皆のこN.0の地で甘い物に飢えていた当時の社会に「砂糖きび」で大儲けをしていたN.Oの富豪達だったのです。”N.Oと言えば綿花”と言ったイメージが一般に定着したのです。

世界一のどでかい賭け

N.Oの歴史に見え隠れするスペインという国、この国は昔からインカ帝国を滅亡に追いやる程の侵略や略奪、搾取には長けていて1300年代と言う早い時代に既にこの地にやってきて略奪を完了していましたが、いざその地を得て町や文化を育てると言った方面には余り向いていなかった様で、その点ではフランスの方が長けていた様でこの地がスペイン文化よりフランス文化の香りが強いのは自然の成り行きなのかも知れません。

さて、ここでとんでも無い話を一つ。時のフランスの成り上がり王子様と言うのが無類の賭事大好き人間で、或る日これ又スペインの成り上がり王子様と知り合いになる。

すっかり意気投合したお二人はそれからは当然の如く毎夜賭事ざんまいとなります。

やがて毎夜、連戦連敗のフランスお兄ちゃんの方は”すってんてん”となり、もはや賭ける物がなくなってしまいスペインお兄ちゃんにも相手にして貰えない。

悔しいの何のと言っても賭ける物が無ければ振り向いても貰えない。そこでフランスお兄ちゃんとしては最後の賭け品として彼が所有していたアメリカの広大な土地、ミシシッピー河流域に隣接する14の州全てを提示して最後の賭けが開始されたのです。

歴史に残った結果は見事フランスお兄ちゃんの敗北、それから暫くはスペインがこの地を支配し新たな歴史が始まったと言う全く信じられない出来事が存在していたのです。

◎いつの時代でもそうですが、たった一人の人間の我が儘と言うのは言葉では語り尽くせない程実に恐ろしくそして実に愚かな物ですが、歴史の裏舞台ではこんな「とんちんかん」な賭事等が数多くなされて今日の世界が存在しているのです。

既に触れた、時の皇帝「ナポレオン」が僅か1,800万ドル(推定64億円?)でこの地をアメリカに売った話、時のロシアがこれ又アメリカにアラスカ全域を売った話、n.yマンハッタン地区を先住インディアンを騙し安値のガラス玉で買い取った(騙し取った、)白人の話等々と、歴史を紐解くとただただ・・それにしてもこの話のスケールの大きさには改めて絶句!


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