VOLUME 2 ニューオーリンズよもやま話

家族愛を大切にするフランス人農場主(つづき)

18世紀初頭N.Oから全米各地に連れて行かれた数多くの黒人奴隷第一世代の“真”の境遇については皆さんがご存じの通り全てが悲惨そのものだったのです。

たまたま私が立ち寄った砂糖きびプランテーションではフランス人農場主がカトリック教を大切にしていたのでこんな光景に巡り会えたと安易に思っていたのですが、アメリカ社会の人種差別問題は実に根深くそんな表向きに写る光景と内側に潜む現実には大きな違いがある事を後になって知らされます。

カトリック教の人々が自分たちの愛情を注ぎ育てた「クレオール人」は「アフリカン・ニグロ奴隷」とは違う当時の社会に強硬に主張し続けたのですが、多数派のプロテスタント教の人々が主張する“白人のみ”が唯一の文明人で他の有色人は明らかに劣った人種だからと19世紀後半になって“有色人種差別法”が成立し、その日からこの「クレオール人」さえも皆苛酷な人生を歩かされます。

最近になって白人社会の人種差別社会が実に巧妙に仕組まれていて表向きでは目を引く大統領の側にも“みえみえ”の黒人を配備してアメリカ社会には人種差別問題はまるで無く、問題は皆解決したかの様に装っていながら、その裏ではこの問題は「奴隷解放」以前と何等一つも変わっていないのが現実だと真実を暴露し始め話題になっているアメリカ白人も数多くなってきましたが、・・・・・・・、

黒人に写るフォスターの曲

フォスターの名曲「主人は冷たき土の中/MASSA'S IN DE COLD COLD GROUND」は通常の人間として心を持つ農場主の下で働かされた奴隷がご主人を慕う光景を美しく描いたメロディーだと思っていましたが、私の見たプランテーションの「書生の部屋」からはこの時代でも黒人に気を配る人間として通常の心を持つ白人農場主もいたんだと思っていましたが、“どちらも白人社会を正当化する為の巧妙に仕組まれた『やらせ』”で「この国の人種差別の歴史は昔から何も変わってないんだ!」と帰りの車の中で私の友人が呟いていました。その“白人アメリカ人”の友人が「これは事実だよ!」と私にサゼッション(忠告)してくれたのが次ぎの一章

【何れにせよ黒人はただただ奴隷!白人は巧妙に苛酷な虐げを刻み込んでいるだけ!】ここのくだりは「宗教」と「人種差別」と言う白人社会の“タブー”領域でこれ以上は入り込めません。どうぞ皆様補足してお読みください。

一握りのカトリック教を大切にする農場主以外の農場に売られて行った多くの奴隷や「アメリカン・ドリーム」とか言う身勝手な白人の御旗の元にただ「銭と名声」だけを追っかける心無い北部ケンタッキーやバージニア州に多いアメリカ人気質丸出しのプロテスタント系の農場主や、フランス人でも宗教よりも「ただ銭儲け社会」に順応している農場主の奴隷達への対応は想像を絶する苛酷な物だったのです。


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